after glow
編集後記18











 まずは下の写真をご覧下さい。最近の僕はこんな感じ----。
 ミュージシャンに転向しました。
 ウソです。(当たり前か)
 なに格好つけてやがんだ! とお笑いかもしれませんが、本人はいたって大マジメ----というか、必死なんですコレ。
 ひょんなことから、地方のあるイベントで開かれるコンサート(1時間のステージ!)に引っ張り出される羽目になり、連日の特訓……自分の仕事がますますわからなくなっている今日この頃です。

 そんなわけで、今日は私的な音楽の話を少しばかり。(え? んなもん聞きたくない? まぁまぁ----)
 僕が初めて心打たれ、涙した音楽は小学校3年の時。中島みゆきさんが唄う「エレーン」という曲でした。遠い異国から日本に出稼ぎに来た売春婦が、自殺する。引き出しの奥には彼女が故国のカネに換えたわずかなあぶく銭----そんな唄です。暗いでしょう。アルバムのタイトルからして凄い。
『生きていてもいいですか』
 このLPは、当時の僕の宝物でした(どんな小学生!?)。
 ギターを始めたのは中学1年の夏。廃校になる近所の高校の音楽室から、モーリスのギターをかっぱらってきて(後で知ったけどそのギターは「モーリス」じゃなくてバッタもんの「モラレス」だった)、見様見真似で弾き語りを始めました。70年代のフォークソングがお気に入りで、同世代の友人達とは明らかに趣向がズレていました(よく言われるけど、僕の脳味噌は実年齢よりも約10歳老けているらしい)。

 以来20年余。今はありとあらゆる音楽を聴いています。ロックもジャズもブルースも、クラシックもフォークもポップスも民族音楽も、大好きです。
 でも、本当に辛かったり落ち込んだりする時、棚から引っ張り出して聴く音楽は、かつて幼い頃、部屋で膝を抱えてじいっと聴いていたものばかり。
 変わらないものだなぁと思います。

「SoCool!」のページにも書きましたが、変わらずにいるというのは、実はとっても難しい。変遷するのは割と容易い。哀しいしとっても残念なことだけど、人は自らの感情の移り変わりや、創作性のピークというものを、客観的には判別できないのかもしれません。他人のそれは容易に見抜けたりするけど……。
ん? ということは----。
 ヤバイ! 僕もテルマも、変わっちゃってる!? もしかして前よりもつまんない!? 自分だけが気づいていないのか。みなさん、どうかご意見をお寄せ下さい。それだけがこの本の、僕の生命線です。お願い!!

----ところで音楽の話って、どうなったんだっけ?

(2004年6月30日発行『TALEMARKET vol.18』編集後記より)






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